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2020/10/16

ユナイテッドアローズ×シャトー・メルシャン。異色のコラボが生まれた背景、両社が語るブランドへの想いとは

日本ワインを愛し、親しみ、そして日本の伝統や食文化と共にワインを楽しんでもらいたい。そんな想いから、1974年よりシャトー・メルシャンは、毎年秋の収穫後にハーベスト・フェスティバルを開催してきました。

そして43回目の開催を迎えた今年。イベントを再設計し、新たな形に生まれ変わりました。それが、オンラインでワイナリーとご自宅を直接つなぎ、一緒に楽しめる「シャトー・メルシャン 勝沼ワイナリーフェスティバル2020 」です。

「日本を世界の銘醸地に」というシャトー・メルシャンのビジョンのもと、このような状況下でもより多くの方に日本ワインの魅力を伝え、日本ワイン産業を盛り上げたいという想いから、今回新たな試みとしてオンラインでの開催が決定しました。

さまざまなコンテンツをご用意する「シャトー・メルシャン 勝沼ワイナリーフェスティバル2020」ですが、特に注目してもらいたいのは、勝沼の近隣ワイナリーや企業とのコラボレーションです。なかでも、人気セレクトショップ「ユナイテッドアローズ」とのコラボレーションTシャツは、2つのブランドの想いが一つになり実現した、スペシャルなプロダクトとなりました。

今回、異業種でのコラボレーションは、どのようにスタートしたのか。その内容とは?両者の出会いからブランドへの想いについて、ユナイテッドアローズのご担当者お2人とシャトー・メルシャンのチーフ・ブランドマネージャー神藤に、話を聞きました。

 

きっかけは、ユナイテッドアローズ社内のクラブ活動「UAワイン部」


(お話を伺ったのは、株式会社ユナイテッドアローズの蟹澤徹さん[左]、岩野徳郎さん[右])

今回、「シャトー・メルシャン 勝沼ワイナリーフェスティバル2020」(以下、「勝フェス」)で初めてコラボレートする、シャトー・メルシャンとユナイテッドアローズ。そのきっかけとなったのは、「UAワイン部」というユナイテッドアローズ社内公式のクラブ活動でした。

「UNITED ARROWS LTD.WINE CLUB」、通称「UAワイン部」の部長を務めているのは、株式会社ユナイテッドアローズでリスク・コンプライアンス統括室に所属する蟹澤さん。「そもそも私自身が大のワイン好き。今回のコラボを一番喜んでいるのは私かもしれない」といいます。

蟹澤さん:「UAワイン部では、これまでいろいろなイベントを企画してきました。でも、このコロナ禍ではなかなか活動が難しい。その状況にもどかしさを感じていて。そこで知り合いのライターさんに相談したところ、何かヒントをくれるのではないかと神藤さんを紹介してくれたんです」

 


(シャトー・メルシャンのチーフ・ブランドマネージャー神藤)


神藤:「UAワイン部のことは以前から存じ上げていました。私たちとしては、ユナイテッドアローズさんに片思いしていたも同然だったんです。ワインは奥深いお酒ゆえに難しい印象を持たれることも多く、敬遠されがちでもあります。そうしたワインに日本を代表するセレクトショップが注目し、社内オフィシャルのクラブ活動までされている。心密かに『いつかご一緒したい』と思っていまして、私たちからもそのライターさんにご仲介をお願いしていたんです。」

聞けば蟹澤さんも、ワイン好きがこうじてシャトー・メルシャンの勝沼ワイナリーに足を運んだことがあるなど、「片思いは私たちも一緒だった」のだとか。知人の紹介でつながった不思議な縁。そして、今年の夏に神藤と蟹澤さんは対面することになったのですが、そのタイミングも運命的だったそう。

蟹澤さん:「つないでくれたライターさんに仲介してもらい、神藤さんに初めてお会いしたのが今年の7月。その時にたまたま『今年の秋、勝フェスというオンラインイベントが開催される』というお話を聞きました。ワインのイベントというだけでも十分ワクワクするのに加えて、オンライン開催というのが面白く、話がすごく盛り上がったんです」

ユナイテッドアローズとシャトー・メルシャン。業種は異なれどワインに対する想いをはじめ、共通する部分が多いこともあり、何か一緒にできたならとメルシャン社内で話が挙がりました。そこで出たアイデアが今回の勝フェスのコラボTシャツです。

それは、参加者の方々やスタッフがイベント当日に着られるような、チームTシャツのようなものを作ってはどうかというものでした。早速、神藤をはじめとするシャトー・メルシャンチームから蟹澤さんへ提案することに。

神藤:「アパレル業界をリードするユナイテッドアローズさんは、ファッションのプロ。私たちには持ち得ない力をお持ちです。一緒に勝フェスを盛り上げてほしい、と半ば無茶なお願いとわかっていながら私たちの想いをお話させていただきました」

蟹澤さん:「最初は正直、驚きました。軽い気持ちでUAワイン部の相談をしに行ったら、コラボしましょう!という話にまでなったので(笑)。でも、よくよくお話をお聞きしてみると、当社の経営理念にも繋がるとても興味深い企画であると思ったんです。とはいえ個人の独断ではお答えが難しいので一旦返事は持ち帰り、岩野に相談しました」

株式会社ユナイテッドアローズの第一事業部 運営支援部開発推進課の岩野さん。主に新規ビジネスの創出やBtoBコミュニケーションを担当されています。

岩野さん:「蟹澤から夜遅くに今回のコラボについて熱いメールが届いて、びっくりしたのを覚えています(笑)。でもお話を聞いて、すぐにお受けすべきだと思いました」

株式会社ユナイテッドアローズの行動理念の一つである“社会価値の創造”。それを実現するために、何をすべきなのか。岩野さんが日々思索するなかで、今回のコラボ案が話に挙がったのだとか。『弊社が掲げる“社会価値の創造”につながるはずだと確信した』と言います。

岩野さん:「私たちは理念体系の社会との約束の中の一つとして“社会価値の創造”を大事にしています。その一つが『地域文化や地域習慣を尊重しながら、環境、福祉や文化向上のイベントに積極的に参加、貢献すること』なんです。

『勝フェス』には勝沼地域のワイナリー4社も参加し、シャトー・メルシャンさんと手を携えます。これはまさに“地域の尊重”かつ“文化向上への貢献“であり、弊社の行動指針に深く通じることだと思いました」

 

異業種の垣根を跳び越えた、深い共鳴 “社会価値の創造」

長い歴史を受け継ぎながら「日本を世界の銘醸地に」という想いを実現すべく、これまでにも地域に根ざしたイベントを開催してきたシャトー・メルシャン。今回の「勝フェス」もその一つです。

そんなシャトー・メルシャンの想いや活動に共感し、今回実現したコラボレーション。完成したTシャツは背面にシャトー・メルシャンのロゴ、フロントの胸元には「FINESSE & ELEGANCE」というフレーズがデザインされています。そこには、どのようなこだわりが込められているのでしょうか。

岩野さん:「胸元の“FINESSE & ELEGANCE”というフレーズは、シャトー・メルシャンさんのフィロソフィーです。私はそれを知ったとき、またも2社が共鳴するのを感じました。というのも、弊社の経営理念の一つが真心と美意識なんです。そこでまた大きな共通性を見出すと同時に『2社がコラボする意味はここにある』と感じ、このフレーズをメインにデザインさせていただきました」

出来上がったTシャツのデザインを見た神藤は、「嬉しくて思わず震えてしまった」と言います。

神藤:「FINESSE & ELEGANCEのフィロソフィーはもちろん、その下にデザインされた『1877』という数字も嬉しかったんです。『1877』は、私たちが系譜を継ぐワイナリーが創設された年。それは、日本において本格的なワインづくりが始まった年を表しています。

台風も湿気も多い日本は、ワインづくりには過酷な環境。それでも各地のワイナリーさんは140年以上、ワインづくりに精を出し続けてきました。その始まりの年である『1877』は、私たちにとっても大事な数字なんです。ここを汲んでいただき、本当に感動しました」

岩野さん:「神藤さんたちが事前に作ってくださった資料が素晴らしかったんです。企業のフィロソフィーだけでなく、日本におけるワインの歴史やワイナリーさんの努力まで、丁寧にまとめられていて。」

神藤:「私たちのフィロソフィーであるFINESSE&ELEGANCEには、 調和のとれた上品な味わいこそが、シャトー・メルシャンのワイン造りであるといった想いが込められています。そしてその想いは1877年から始まった先人たちの想いを引き継いで、大切に育ててきた考え方であるということもぜひ知っていただきたくて、想いを詰め込んだ資料をお渡しさせていただきました。」

岩野さん:「フィロソフィーと1877は絶対に入れようと決めていました。弊社では造語なのですがトラッドマインドという商品開発理念を大切にしています。これは『古きよきものをリスペクトし、継承ではなく時代に合わせて進化させる』という意味。これもまさにシャトー・メルシャンさんの姿勢に通じ、古き良きのルーツが『1877』という数字。この哲学が明確だったからこそ、迷うことなくデザインが完成しました」

 

オンラインならではの楽しみ方に期待が集まる「勝フェス」

こうして完成した特別コラボTシャツは、イベント前に販売される「おうちで勝フェスキット 」に同梱されます。ここで改めて、「勝フェス」について3者に話を伺いました。

神藤:「コロナ禍によって私たちの生活様式は変わりましたが、ワインの原料であるブドウは動じることなく、今年も素晴らしい新酒が完成しつつあります。そこで『おうちで勝フェスキット』としてワインの新酒をお届けし、お好きな場所で味わっていただく形です。

勝沼ワイナリーの会場から、オンラインによるワイン解説やワイナリー見学、ブドウをモチーフとしたアート作品を募り、表彰する企画も考えているので、お子さまにも参加いただけます。
そしてシャトー・メルシャンだけではなく、勝沼の近隣4ワイナリーと共に、日本ワインの新しい楽しみ方をLIVEで配信するなども予定していて、みんなで日本ワイン発祥の地・勝沼から日本ワインを盛り上げようと思っています!」

蟹澤さん:「以前、『UAワイン部』の活動として、シャトー・メルシャンの勝沼ワイナリーにお邪魔したことがあるんです。ワインの原点たる醸造所でワインを飲むという行為は、ワイン好きにとって最高の贅沢。

でも、リアルのワイナリー見学となると『小さい子どもがいると週末に勝沼まで行く時間を取るのはなかなか難しい』という部員がいたのも事実で。それがオンラインとなれば、誰でも気軽に参加できます。1人のワイン好きとして、本当に楽しみにしているんですよ」

イベント当日は「UAワイン部」の皆さんも参加予定だそう。これまでは現地へ行くのが難しく参加できなかった人も、今回は気軽に参加できるようになって嬉しい、と蟹澤さん。


岩野さん:「神藤さんの言葉どおり、『お好きな場所』で飲めますからね!自室でじっくり味わうのもいいし、家族と一緒にダイニングで味わってもいい。それにスマホやタブレットが普及した今、オンラインで『勝フェス』を楽しみながら、青空の下で新酒を味わうこともできます。これって言い換えれば、“あなた色に染める”ということ。ワインを飲む楽しみだけでなく、あなた色の空間を創り上げる過程も楽しめると思うんです」

この“あなた色に染める”というフレーズを出発点にした、「勝フェス」のガイドブックも完成しました。「UAワイン部」の皆さん等から伺ったお話を参考に、「こんな環境でワインを飲んだら味も格別!」というおしゃれなアイデアが詰まった1冊です。こちらも「おうちで勝フェスキット」に含まれているので、ぜひお楽しみください。

 

イベントをきっかけに、さらなる「世界の銘醸地」を目指して

ニューノーマル時代のなかで、新しく生まれ変わった「勝沼ワイナリーフェスティバル2020」。

オンラインという形に変わっても、ブドウは変わらず豊かに実り、収穫され、今年もワイナリーでは美味しいワインが造られています。そして、『日本を世界の銘醸地に』というシャトー・メルシャンの想いも、これからも変わりません。

神藤:「私たちが抱いている、『日本を世界の銘醸地に』という想い。それを実現するために、まずは1人でも多くの方に日本ワインの魅力を知っていただけたら。今回のイベントではユナイテッドアローズさんにご協力いただいたので、ファッションが好きな若い方にも、ぜひ日本ワインを楽しんでいただけたら嬉しいです。

ワインの味は風土の影響を強く受け、日本ワインには日本で生産されるからこその味わいがあります。そのおいしさを知っていただければ、自国の風土とワインが誇らしくなるはず。すると国内に300以上あるワイナリーの喜びと刺激になり、『日本を世界の銘醸地に』という想いが現実になっていくと信じています」

今回のコラボが実現した「シャトー・メルシャン 勝沼ワイナリーフェスティバル2020」は、2020年11月7日(土)、11月8日(日)の2日間にわたり開催されます。今年は現地のみならず、オンラインでもワインを存分に楽しめるさまざまなコンテンツをご用意しています。
ぜひコラボTシャツを着て、ワインを片手にご参加ください。画面の向こうで、勝沼の豊かな自然とワイナリーの仲間たちが皆さんをお待ちしています。

 

【インフォメーション】
イベント名:シャトー・メルシャン 勝沼ワイナリーフェスティバル2020
日時:2020年11月7日(土)、11月8日(日)
時間:11:00〜16:00
特設サイト:https://www.fes.chateaumercian.com/

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