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2021/01/20

桔梗ヶ原ワイナリー、冬のお仕事

シャトー・メルシャン 桔梗ヶ原ワイナリーの岩谷です。この12月は強烈な寒波の影響で桔梗ヶ原地区でも降雪が確認され、朝はマイナス10℃近くまで気温が下がる日々が続いております。(伊豆出身の私にとってはとても厳しい寒さです…)

2020年は様々な変化があり大変な年でしたが、ブドウは健全な状態で収穫を行うことができました。仕込んだワインも11月に全て樽に詰め終わり今年も無事に良いワインを仕込めたことに一安心しております。


(樽の中には今年仕込んだばかりのワインが入っています)

さて、仕込みも終わって一段落すると「一体冬の間は何をするのか」、「暇なのか」といったお声を頂戴することがございますが、決して仕込みが終わったからといって何もすることがない訳ではありません。

冬は1年間頑張ってきた畑への“施肥”や“土起こし”、垣根資材や農業機械の整備といった作業に加えて“冬季剪定”というとても大切な作業があります。今回は、桔梗ヶ原ワイナリーで行っている冬場の作業について紹介させて頂きます。


(冬の桔梗ヶ原ワイナリー敷地内にある箱庭ヴィンヤードの様子)

“施肥”は、畑の栄養状態を適切に保ち、ブドウを健全に育てるために行います。ブドウは一生を同じ畑、土壌で過ごすため、どうしても土の中の栄養分が不足する場合があります。また、そもそも栄養分が足りていない畑もあります。そういった状態をブドウの様子を確認しながら見極めて、過不足の無いよう適切に肥料を撒くことが重要になってきます。

“土起こし”とは、固まった土を掘り起こす作業のことを言います。これを行うことで前述の畑に撒いた肥料を混ぜ、土の中に空気を送り込み、土壌微生物が活発に活動できる環境を作ることができます。土壌微生物が活発に活動することで、土の中にブドウが利用できる栄養分が増え、健全なブドウの成長につながっていきます。

また、作業をしているとブドウを支えている垣根の針金が切れたり、支柱が変形したりしてしまうことがあります。そういった資材の取り換えや修理、トラクターなどの点検、整備といったことをしています。これはブドウのためという目的の他に、自分たちが安全に仕事をするために重要な作業です。

いよいよ冬場の作業の中で岩谷が大好きな“冬季剪定”です。まず細かい説明の前に“冬季剪定”は何のために行うかというと、高品質なブドウを長い年月を通して収穫できる状態をつくるためです。この目的を達成するために重要なポイントが3つあります。

 ① ブドウの樹形を永きに渡ってコンパクトに保つこと
 ② ブドウ樹の勢い(翌年伸びる枝の成長度合いと思ってください)のコントロール
 ③ 収量の調整

1本の樹が何十年も生きるので、この冬季剪定の作業で適切に樹形を維持することがブドウ樹の寿命を延ばし、高品質なブドウを収穫し続けることに大きな影響を与えます。


(桔梗ヶ原地区の剪定後のブドウ樹の様子。横に置いてあるのは剪定で切った枝を集めたものです)

これで冬季剪定がどれだけ重要か分かっていただけたと思いますので、続いては冬季剪定とはどんな作業なのか説明させていただきます。

大雑把に言うと、その年に伸びた枝を必要なものだけ残し、残りの枝を切る作業です。必要な枝を選ぶ際には、前述の3つのポイントを意識しながら翌年の夏の作業や冬季剪定、さらに言えば、未来の樹の姿を想像しながら選ばなければなりません。

しかし、1本1本のブドウ樹の剪定作業に長い時間をかけていると、剪定が終わる前にあっという間に春が来てしまいます。そのため、ブドウ樹を見た瞬間にその樹の未来の姿を想像し、素早く枝を切っていくのですが、これがなかなか大変なのです…。

来年も良いワインを仕込み、皆さまにお届けできるように、寒さに負けず精一杯冬季剪定を進めていきます!そして冬が過ぎてブドウ樹が芽吹く頃には社会の様子も今より落ち着いているように願うばかりです。

話題は変わりますが、シャトー・メルシャンではInstagramやfacebookで日々の作業や様々なトピックをお届けしております。時にはワイナリーからのLIVE配信なども行っているのでぜひご覧ください!過去のLIVE配信の様子もご覧いただくことができます!
過去のLIVE配信はこちら


(今年5月に開催された、五一ワイン様、井筒ワイナリー様、シャトー・メルシャン桔梗ヶ原ワイナリーによる合同LIVE配信の際の様子)

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