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2016/08/22

「摘房」


椀子(マリコ)ヴィンヤード、園田です。
梅雨明け宣言もされ夏本番、ときおり激しい夕立と雷が鳴ります。我々はそのたびにバラバラと雹(ひょう)が降ってくるのではないか、と心配になります。
今のところ我々の圃場では大きな病害虫や天災も無く、どのブドウの果実も順調に膨らんできています。生育の早いピノ・ノワールなどは早くもいくらか色付き始めました。



我々の圃場のピノ・ノワールはまだまだ実験段階ですが、同僚の鎌田が鋭意その可能性を探っています。


さて、この時期我々が進めている(追われている?)作業のひとつに、「摘房(てきぼう)」という作業があります。摘房とは、鈴なりについたブドウの房を、ある程度切り落とし数を減らす作業です。それにより一房あたりのブドウが持つ凝縮感(甘味・うまみ・厚み)の、より強いブドウを作ることができる、とても大事な作業です。
目的とするワインやブドウの品種によって、一本当たりの樹に残すブドウの房数を変えています。より良いワインを作るためには房数を減らすことが大事ですが、バランスが大事、といった感じです。



写真はシャルドネという白ワイン用ブドウ品種です。この区画のシャルドネは、近年樹齢が増し、ぐんと味わいが深くなり、海外のコンクールでも金メダルを受賞するようになったワイン(シャトー・メルシャン マリコ・ヴィンヤード シャルドネ)の原料になります。
写真のように鈴なりになっているブドウに一房ずつハサミを入れていき、形を整えながら摘房を行い、枝(結果枝)一本につき二房程度に制限していきます。



房数が減ったことにより、ブドウの樹が光合成で得たエネルギーは残った房に蓄えられていくのです。もったいないようですが、この地面に落とされたブドウもやがて養分となり、土壌を豊かにしてくれることでしょう。


作業をしていると我々は時々樹の上に鳥の巣を発見します。心優しき我々農夫たちはそっと木の枝で巣を隠してやり、小さな命が無事に巣立つことを祈るのです。



...が、冒頭に紹介したように果実が熟し、赤く色が変わってくるのは本来、ブドウの樹から鳥たちへの
「そろそろ食べていいんだよ(そのかわり種はしっかり運んでよ!)」
という合図です。
その合図は明確に彼らに伝わり、これから収穫までのひと月からふた月、鳥が愛でる対象から天敵に変わるのです。


今年も彼らとの戦いのゴングが間もなく鳴ります。

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