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2021/03/08

新鶴とともに歩んだ45年、そして未来へ。

<新鶴訪問記>
2021年2月、まだ雪深い福島県会津美里町新鶴地区を、シャトー・メルシャン ゼネラル・マネージャーの安蔵光弘と、大橋健一マスター・オブ・ワイン(以下大橋MW)が訪れました。
当日は、強烈な風と共に雪が降る悪天候の中、ブドウ畑の視察を行いました。
ブドウ畑では栽培農家の方から、雪の多い新鶴ならではの過酷な冬の剪定作業や品質を上げるための芽かきの方法、シャルドネの樹勢や新たに挑戦する品種「アルバリーニョ」についてなどなど、横殴りの吹雪をものともせず、いかに高品質なブドウを栽培していくか、熱く語っていただきました。


雪で支柱が曲がらないよう畑の中の雪かきは必須。この時の積雪は膝高ほど。


雪の中での剪定作業は苦労が絶えない

折しも東日本大震災から10年という節目の年となった今回の訪問では、
「10年前の東日本大震災で、新鶴地区に直接的な被害はなかったものの、風評被害もあり福島県の産物にとって難しい時期があったが、10年経ったいまも、彼らはめげることなく、逆にこちらが勇気をもらうほどの賑やかさがある。横殴りの吹雪をものともせず、いかに品質の高いブドウを栽培するか熱く語るその思い、その姿に勇気と元気をいただいた」と大橋MW。

 この日は、年に一度のワインブドウ生産組合の総会もあり、その会場に向かう途中で、栽培農家の方から、昨年、福島県限定で販売された「日本の新酒 新鶴シャルドネ2020」が、「特にフレッシュさに通じるしっかりとした酸がもたらされたヴィンテージでものすごく美味しかったからケースで買っちゃいました」と聞いた大橋MWは、
「自分の造ったブドウがワインになって、その美味しさがまたブドウ栽培への情熱につながっている。そのサイクルが機能していることを改めて感じた」と話されていました。
新鶴地区では新たなチャレンジとして、主にスペインで棚式栽培されているブドウ品種「アルバリーニョ」の栽培に取り組み、シャトー・メルシャンでは、2017年ヴィンテージから「シャトー・メルシャン 新鶴アルバリーニョ」を販売しています(※ワイナリーおよびDRINX限定)。

安蔵も、「近年、アルバリーニョは注目を受け始めています。シャルドネの産地として多くの受賞や国際線ファーストクラスでの採用など、高い評価を受けている新鶴で、今後、アルバリーニョの可能性を一緒に切り開いていきたい」と意気込みます。大橋MWも、「新鶴は、時代に対するフレキシビリティがあり、ますますやる気に満ちている」と評価されていました。アルバリーニョは、シャトー・メルシャンにとってもまだ新しい品種で、今まで45年一緒に歩んできたシャルドネのように、これからも新鶴の栽培農家の皆さんと一緒に、試行錯誤しながら歩んでいきたい、とても楽しみな品種です。

最後に大橋MWに、新鶴訪問の感想を伺いました。

「それにしても、ここ、新鶴の栽培農家の皆様は楽しいですね!!今回は移動中の軽トラックに同乗させてもらって、深いお話まで聞かせて頂きました。今後益々応援させて頂きたいです!」


栽培農家の皆さんと。左から、五十嵐新一さん、安蔵、一条悟さん、大橋MW、佐藤孝美さん


ワインブドウ根岸生産組合総会にて、(左)副組合長 一条悟さん (右)組合長 五十嵐新一さん

■シャトー・メルシャンと新鶴45年の歩み

<シャトー・メルシャンと新鶴との出会い>
シャトー・メルシャンと新鶴の出会いは50年近くも前に遡ります。
当時はまだ「新鶴村」でしたが、休耕地利用を課題に抱える新鶴村の皆さんから、ブドウ栽培をやってみたいという話をいただいたのが始まりでした。
その後、1973年に試験栽培を開始し、1975年に正式にシャルドネの契約栽培を開始しました。
45年も前のことですが、今でも「新鶴」は、シャトー・メルシャンの中で最も歴史のあるブドウ栽培地の一つです。

新鶴地区は、日当り、水はけともに良い丘陵地にあり、標高は225~250mと比較的低い平地で、内陸性気候のおかげで昼夜の温度差が大きく、良いブドウを栽培するには好条件でしたが、収穫前になると秋雨が多い気候だったため、ブドウが病気になってしまうことを避け、ブドウの糖度が十分に上がる前の9月中旬から下旬には収穫しなければならず、質の良いブドウを得るための苦労が続きました。

<ブドウの品質を変えた栽培農家さんの熱意>
転機が訪れたのは、1998年。
ある栽培農家の方が、このままではいけない。「新鶴」を素晴らしい産地として盛り上げるには、品質の良いブドウが必要。そのために何ができるだろう?と考え、自らの費用でブドウに雨避け施設を設置。周囲からは、そんなに手間と費用をかけてどうするのかと意見されることもあったそうですが、ブドウの品質のために情熱を注いだ結果、高い糖度で健全なブドウの収穫が実現しました。その後、ブドウの品質は格段に向上し、シャトー・メルシャンとして、初ヴィンテージとなる「シャトー・メルシャン 新鶴シャルドネ2000」が誕生。雨避け設置開始から3年後のことでした。

徐々にその品質が認められ、2008年「シャトー・メルシャン 新鶴シャルドネ 2006」がANA(全日空)国際線ファーストクラスの機内でサービスされるワインとして選ばれました。2011年にはフランス・ボルドー地方で開催された「第35回 国際ワインチャレンジ」で、「シャトー・メルシャン 新鶴シャルドネ 2009」が金賞を受賞。「日本ワインコンクール 2018」にて、「新鶴シャルドネ 2016」が金賞を受賞しました。さらに、2019年度の日本航空(JAL)国際線ファーストクラスにて「シャトー・メルシャン 新鶴シャルドネ 2017」が3月から8月まで提供されるワインに選ばれました。

<新たなチャレンジ>
これまで新鶴では、雨対策や収量制限、短梢剪定で植栽密度を高めるなど、シャトー・メルシャンと新鶴の栽培農家の方とが一丸となって様々なと取り組みを進めてきました。先に述べたように、新たな品種「アルバリーニョ」の栽培にも2014年からチャレンジし、限定品ではありますが、「これは美味しい!」と嬉しい声をいただけるワインが生まれています。まだ栽培面積は少ないですが、新たに栽培にチャレンジする農家の方もいて、これから注目の品種です。


シャトー・メルシャン 新鶴アルバリーニョ(ワイナリーおよびDRINX限定)

<最新情報>
 2021年3月 女性目線による従来の常識を打ち崩す新しいワインの価値基準の提案と、日本のワイン市場の今、そしてこれからを提示することを目指し開催されているアワード、「ジャパン・ウーマンズ・ワイン・アワード”さくら”」 にて、「シャトー・メルシャン 新鶴シャルドネ 2018」 がダブルゴールドを受賞しました!

<インスタライブのお知らせ>
シャトー・メルシャンと新鶴45年の歩みを、シャトー・メルシャン勝沼ワイナリーからお届けします!ぜひご視聴ください!

 日時:2021年3月10日(水) 19:00~19:30 
 出演:シャトー・メルシャン 勝沼ワイナリー長 田村隆幸、シャトー・メルシャン 勝沼ワイナリー 弦間浩一、シャトー・メルシャン ワインメーカー 高瀬秀樹 
 視聴方法:シャトー・メルシャン公式インスタグラム(@chateaumercian)をフォローの上、指定の時間にご視聴下さい。

<キリン絆プロジェクト~東北とともに歩んだ10年間>
キリングループでは、“絆が復興の原動力になる”と考え、東日本大震災から3ヶ月後、「復興応援 キリン絆プロジェクト」を発足しました。東北とともに歩んだ10年の軌跡を振り返り、過去と未来をつなぐ新たな「絆」を紡ぎだす、そんな想いを記事にまとめましたので、ぜひご覧ください。
https://www.kirin.co.jp/csv/kizuna/special/tohoku_kirin/

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