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2020/12/15

ワイン片手に楽しめる大人の音楽劇をご一緒に♪ 「ワイン」と「演劇」のマリアージュ

1989年の初演以来、冬の風物詩として30年以上愛されてきた『ア・ラ・カルト』。クリスマスの夜、フレンチレストラン『ア・ラ・カルト』を舞台に、お店のスタッフや訪れたお客さまたちが繰り広げるドラマを単品料理アラカルトにたとえて、ショートショートのお芝居と生演奏、そして、料理&ワインで綴るお洒落な音楽劇です。メルシャンも25年以上にわたり、この演劇とレストランのライブ感覚が融合したエンターテインメントを応援してきました。今回は、主演・脚本の高泉淳子さん、演出の吉澤耕一さんをメルシャン本社にお迎えし、シャトー・メルシャン ゼネラルマネージャー安蔵光弘の3人による鼎談をお届けします。「ワインと演劇」をテーマに、造り手同士の思いを語っていただきました。


<プロフィール (写真右から)>
シャトー・メルシャン ゼネラル・マネージャー 安蔵光弘(あんぞう・みつひろ)
茨城県出身。1995年、東京大学大学院 農学生命科学研究科 応用生命工学専攻修士課程を修了後、メルシャンに入社。2001年、ボルドーの「シャトー・レイソン」出向、同年、ボルドー第2大学醸造学部にて利き酒適正資格【DUAD】取得。「レ・シタデル・デュ・ヴァン国際ワインコンクール」の審査員を3回務めるなど、海外でも経験を積み、チーフ・ワインメーカーを兼任しながら現職を務める。山梨県ワイン酒造組合会長。

高泉淳子氏(たかいずみ・あつこ):役者/脚本 
役者、劇作家、演出家。早稲田大学卒業後、劇団を結成。少年少女から老人までさまざまな人物を演じ人気を得る。中でも少年役の「山田のぼる」はブームを呼び、1993年「ポンキッキーズ」で生放送の司会役を務め旋風を巻き起こした。2002年劇団解散まで舞台の本も手がけ、1989年から上演されている『ア・ラ・カルト』では脚本と主演を務める。2004年『エレファント・バニッシュ』のニューヨーク、パリ、ロンドン公演で世界的評価を得る。1991年文化庁芸術祭賞、2009年スポニチ芸術優秀賞、2013年「ア・ラ・カルト2」、三谷幸喜作演出の『ホロヴィッツとの対話』で読売演劇大賞優秀女優賞を受賞。

吉澤耕一氏(よしざわ・こういち):演出 
東京都出身。1983年に遊◉機械/全自動シアターを結成。構成、演出、照明を担当する。91年の退団後は、演出家、照明家として演劇公演のほか、パントマイム公演、コンサートなど幅広いフィールドに活動の場を広げている。『ア・ラ・カルト』では初演から演出を担当。最近の仕事として、ROLLY、中西俊博といったコンサート、HARAISO、AYUKOJIのパントマイム公演やPANTOMIME IN BANGKOKのフェスティバルなどを演出。照明家としても数々の演劇公演、コンサートの照明デザインを担当している。

 
 

舞台に登場する料理とワインを猛勉強!


 

吉澤・高泉:本日はお招きいただき、ありがとうございました!

安蔵:コメディタッチのお芝居が展開され、生の演奏が入り、そこに料理とワインが登場する、四拍子揃った素敵な演出の舞台、拝見しました。『ア・ラ・カルト』は1989年が初演だそうですが、89年といえば、シャトー・メルシャンの「信州桔梗ヶ原メルロー1985」が国際ワインコンクールで初めて大金賞をいただき、国内外に日本のワインのポテンシャルを示した記念すべき年です。自分はそのときまだ学生でしたが、その頃から日本ワインの人気や少量が少しずつ右肩上がりになっていったと記憶しています。

吉澤:そうですね。『ア・ラ・カルト』を始めた当時は、日常でフレンチレストランに行って、ワインを頼むという習慣が日本になかった時代です。そういう場所に行くのは、プロポーズをするためだったり、大切な人の誕生日だったり、記念日だったり。服もよそゆきを着て、いつもと違って気取っていたからこそ出てくる面白い人間関係を描こうと考えたのがスタートでした。僕らもワインにはまったく詳しくなかったし、お客さまにも詳しい人はそれほどいないだろうと、ワインも一つの遊び道具というか、最初は語呂合わせだけで面白いワインを出していたんです。

高泉:初めはテイスティングもふさげてやったりしていました。ところが、3年、5年と続くうちに、ワインブーム、レストランブームがきて、今までの観客層と明らかに変わってきたんです。「青山円形劇場(2014年閉館まで26年間上演)で、面白い舞台をやっているらしい」と、ワイン通の方やレストラン関係者、ソムリエの方々が集まってくるようになったんですね。そうしたら、ふざけて書いたワインの話でも、みなさんしっかり見てくれるようになって(笑)。

吉澤:いい加減なことができなくなって、ちゃんとワインのことを勉強したり、いろんな知識を持たないと、レストランの芝居がリアリティを持たなくなってきたんです。

安蔵:聞くところによると、某フレンチレストランのシェフから本格的にワインや料理のレクチャーを受けられたとか。実は私もよく知っている方なんですよ(笑)。あとから知って驚きました。

高泉: アンケートにも「あの料理にあのワインはいかがなものか?」みたいなことを書かれたことがあって、私たちの舞台を応援してくれている和食とワインのお店のご主人に “料理とワインのマリアージュ”を相談したのがきっかけでした。その方のつながりで安蔵さんもよくご存じのフレンチのシェフと知り合い、ここ数年は、メニューも提供していただくようになりました。

今はテクニカルリハーサルといって、ワインの開け方や説明の仕方、お皿のサービスの仕方などもチェックしてもらっています。半端じゃなく、練習してます(笑)。

安蔵:それはすごい! 洗練された料理とワイン、そして、プロフェッショナルな動きの上に成り立っているお芝居だから、楽しさが増すのかもしれませんね。

 
 

芝居もワインも、熟成させることでもっと味わい深くなる


 

安蔵:今はみなさんが日常的にワインを楽しまれるようになりましたが、インタヴューの機会に「ワインの魅力は何ですか?」と聞かれると、いつも「ワインは会話が生まれるお酒だと思います」とお答えしています。たとえばウィスキーはどちらかというと一人で黙々と飲むイメージですが、ワインは一人で飲むお酒ではない。そもそもフランスでは、ちょうど二人で飲む分量ということで、あのボトルの容量(750ml)が決まったといわれるぐらいで、ワインが料理を引き立てながら、会話を弾ませてくれる名脇役の役割を果たしてくれると思っています。『ア・ラ・カルト』の世界観とそこは似ているなと。

高泉:私たちのコンセプトもまさにそうです。そしてなぜか、必ず何かが起きる(笑)。でも、レストランというシチュエーションにワインがあることで、いつもはなかなか言い出せないことが話せるんですよね。家だとワーッと騒いで終わってしまうけれど、もっと内面を話せるというか。「今なら話してもいいかな」という雰囲気をつくってくれて、夫婦や恋人、仲間をつないでくれるものだと思います。
ちょっと話がそれますが、仕事でフランスに行ったとき何人かでワインを飲む機会があって、ボトルにちょっとだけ残ったワインを「これは、あつこね」と言いながら、最後の一滴までポンポンと瓶の底を叩いて入れてくれたんです。フランスのおまじないで、こうすると素敵な彼氏に出逢えるんですって! 言葉はわからなくても、それで一気に親しくなれました。

吉澤:ワインの力はすごく大きいと思いますよ。たしかに問題がより大きくなることもありますが(笑)、距離が縮まって温かいものが生まれる気がします。ただ、今年はコロナの影響で、なかなかレストランにも気軽に行けなくなってしまって。ワインの造り手である安蔵さんたちも大変だったのではないでしょうか。

安蔵:今年は家飲みする方が増えて、カジュアルな価格帯のワインは去年に比べて伸びた半面、おっしゃるようにレストラン需要が落ちて、価格帯の高いものは動きが鈍い一年でした。ただ、ここ数年は高額品のシリーズが好調で、実は品薄状態が続いていたんです。でも、そういう赤ワインになると、3年、4年、長いものでは10年熟成させたほうがおいしいものがあるんですね。ワインを造る側から言うと、待つことで、逆に飲み頃を迎えたワインを飲んでいただけるようになって良い面もあります。

吉澤:熟成したワインがもっと味わい深くなるというのは、演劇でも同じことが言えると思います。『ア・ラ・カルト』は、前菜から始まって、魚、肉、デザートというようにお話も変わっていくんですが、最初は明るいバラエティー色が強かったものが年月を重ねるうちにだんだん深くなってきて、笑ったり、泣いたり、ケンカしたり、しみじみしたり、気づいたら人生そのものみたいになってきました。30年という長い時間をかけてじっくり熟成した舞台を、これからも多くの方に届けていきたいですね。

 
 

今年は家でワインを飲みながら『ア・ラ・カルト』を

安蔵:ところで、今年の『ア・ラ・カルト』はオンライン生配信なんですね。

高泉:はい。このような状況で、上演をするかしないかとても悩みましたが、30年以上、毎年欠かさず観にきてくださるお客さまもいらっしゃって、待っていてくれる方々のためにも…と、初めて配信でやることにしました。また、これまでずっとレストランを舞台に台本を書いてきた者として、今年、本当に大変な思いをされたレストランのみなさんにエールを送りたいという気持ちもあります。
今年のテーマは、「僕がいるから、私がいるから、一緒に乾杯しましょう!」です。食事というのは、誰かがそばにいて、たとえ一言もしゃべらない旦那と二人だとしても(笑)、同じテーブルで、同じワインを飲むうれしさがあると思います。今回は生配信だからこそ、一人暮らしの方も、そうでない方も、画面の前にワインを用意していただいて、私が演じる『高橋』と一緒に乾杯できたらいいなと。

安蔵:すばらしい趣向ですね! 配信なら全国どこでも、あるいは海外でも観ることができますし、私も山梨の自宅から参加して一緒に乾杯したいと思います。


吉澤:その乾杯用のワインを安蔵さんが選んでくださったんですよね?

安蔵:『シャトー・メルシャン 藍茜』という赤ワインを選ばせていただきました。このワインは、メルローというブドウ品種とマスカット・ベリーAというブドウ品種をブレンドしてできています。メルローのブドウの色が藍色で、マスカット・ベリーAが茜色というところから、『藍茜』と名付けました。しっかりとしたボディのメルローと、イチゴのような華やかな香りを持つマスカット・ベリーAのいいとこ取りを狙って造ったワインです。日本の食卓での家庭料理でしたら、タレの焼鳥、鶏の照り焼き、豚の生姜焼きなど、少し甘みのあるタレとの相性がバツグンです。

高泉:それを聞いただけで飲みたくなりますが、おいくらなんでしょう?

安蔵:参考小売価格1,800円(税抜き)です。手前味噌ですが、かなりコストパフォーマンスが高く、毎年、JAL国際線のビジネスクラスに載せていただいています。

高泉:その価格なら、お客さまにも自信を持って薦められますね!

吉澤:劇中にはさまざまなシーンが出てきますので、ワインも『藍茜』はもちろん、アラカルトでご用意いただくと、より楽しめるかと思います。最後のほうはちょっと重くてもいいかな(笑)。

安蔵:今はコロナでつらい時期ですが、逆に気づきもあったと思うんですね。実はリモートという手法が使えるとか、オンラインで離れている人とつながれるとか。クリスマスのこの時期、同じワインを飲みながら、お二人の思いのこもったお芝居を観て、多くのみなさんと一緒に楽しいひとときを過ごせたらこれほど幸せなことはありません。そして、来年は実際にレストランや劇場に足を運んでいただけたらと思います。
吉澤さん、高泉さん、本日はどうもありがとうございました!
 

■インフォメーション

移動レストラン『ア・ラ・カルト』
~だったのですが、こんな状況なので今年は『僕のフレンチ』を配信させていただきます! by 高橋~

演出:吉澤耕一 台本:高泉淳子 音楽監督:中西俊博
出演:高泉淳子、山本光洋、采澤靖起
中西俊博(vl)、竹中俊二(g)、パトリック・ヌジェ(vo/acc)、ブレント・ナッシー(b)
配信開始日時/日替わりゲスト
 12月21日(月)19:30~/レ・ロマネスクTOBI
 12月22日(火)19:30~/春風亭昇太
 12月26日(土)18:00~/タイアモンド☆ユカイ
 12月27日(日)18:00~/ROLLY

(あらすじ)
クリスマスの季節、とある場所に荷物を抱えて期間限定のフレンチレストランをオープンさせるためにメンバーがひとり、またひとりと集まってくる…。高橋(高泉が扮する男性キャラクター)を案内役に、音楽とお芝居で綴るクリスマスシーズンのレストランの1日が描かれる。音楽監督中西俊博率いるカルテットの演奏と各方面の多彩な日替わりゲストにもご注目。

○協賛:メルシャン株式会社、大和ハウス工業株式会社

○チケットの購入方法・視聴方法は下記URLのイープラスのページにてご確認ください。
イープラス専用ページ
 https://eplus.jp/alacarte_st/
視聴・配信に関してのお問い合わせ
 https://eplus.jp/streamingplus-userguide/

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