こんにちは。メルシャン株式会社マーケティング部でシャトー・メルシャンの海外マーケティングを担当している安武紅（やすたけ くれない）です。
今回は、4月にイギリスのロンドンで開催された世界最大規模の酒類コンペティション「IWC（International Wine Challenge）」について、現地取材を行ってきましたのでご紹介いたします。「IWC（International Wine Challenge）」は、1984年からイギリス・ロンドンで毎年開催されており、世界で最も厳格で、権威ある酒類コンペティションといわれています。エントリー国数は50ヶ国以上、シャトー・メルシャンも毎年エントリーをしていますが、今回の取材を通してIWCが、“最も厳格で、権威ある”と称される所以を紐解くことができました。
取材をしたのは、Managing DirectorのAndrew Reeds氏と、オペレーション責任者のAlex Redfern氏です。
Managing Director Andrew Reeds氏
IWCがなぜこんなにも多くの国からエントリーを集め、“最も厳格で、権威ある”と称されているのか、大きく２つの観点でご紹介します。
●ジャッジがジャッジを評価する厳格さ
ジャッジにはワイン専門家約400名が登録しており、5階層に分かれています、トップはコ・チェア６名、次にパネル・チェア18名、シニア・ジャッジ、ジャッジ、アソシエイトと続きます。会場にはテーブルが並んでおり、パネル・チェア、シニア・ジャッジ、ジャッジ、アソシエイトがそれぞれグループでワインをジャッジしています。各テーブルを仕切り、議論を取りまとめるリーダー的役割が、パネル・チェアです。
パネル・チェアの資格を維持するには、毎回のテイスティングでぶれのない、正確なスコアを付け続けることが要求されます。テイスティング審査終了後には、パネル・チェア18名の点数順ランキングが発表され、一定の点数以下だった場合、降格となります。またシニア・ジャッジ、ジャッジ、アソシエイトも同じく、同テーブルメンバーの態度、テイスティング能力を判断し提出します。その結果により毎年複数名が入れ替わる仕組みです。
会場は和やかな雰囲気でありながら、ワインをテイスティング審査するジャッジの目は真剣で、各テーブルからは緊張感も伝わってきました。
会場の様子（2023年4月18日）
●同じワインが複数回、異なるジャッジによって評価される公平性・透明性
テイスティング審査は３ラウンド行われ、最低でも8人のジャッジにより試飲され、最大で7回審査されます。まず、第１ラウンドでは、各テーブルで「アウト」、「コメンデッド」、「メダル獲得候補」の３つに分けられます。
「アウト」、「コメンデッド」に分類されたワインは、コ・チェアによって再度テイスティング審査され各テーブルの審査結果を確認します。そこでもし、コ・チェアが次のラウンドへ進めるべきと判断した場合、第２ラウンドに進むことができます。次に、第２ラウンドで再度、「アウト」、「コメンデッド」「メダル（ゴールド、シルバー、ブロンズ）」が各テーブルで審査され、また全てのワインはコ・チェアによって審査され結果が確認されます。
最後に、第３ラウンドはトロフィー・テイスティングです。「ゴールド」に選ばれたワインは全て再度、コ・チェアによって審査され、トロフィー受賞ワインが決定されます。ジャッジが審査したものを、更にトップジャッジであるコ・チェアが審査することにより、公平で透明性高い審査プロセスが実現しています。
コ・チェアマン Peter McCmbie MW
コ・チェアマン Tim Atkin MW
コ・チェアマン Dr. Jamie Goode
会場には、いつも日本ワインを応援してくださっていて、シャトー・メルシャンにもたくさんのアドバイスをくださるMW（マスター・オブ・ワイン）※のみなさんもいらっしゃいました。
※MW（マスター・オブ・ワイン）とは、ワイン業界で取得することが最難関かつもっとも名声の高い資格です。全世界でMW資格取得者は415名（2023年6月時点）
ブラインドテイスティングバッグ
審査するワインを識別するタグ
そして先月、2023年度の受賞結果が発表されました。シャトー・メルシャンは惜しくもゴールドメダル受賞は逃しましたが、「シャトー・メルシャン 新鶴シャルドネ アンウッデッド タンクNo. AM53S 2021」がシルバーメダルを受賞しました。このワインは、福島県会津美里町新鶴地区のシャルドネを、樽を一切使わず（アンウッデッド）にステンレスタンクで醸造・育成した中から、特に香り豊かなタンクを選んで瓶詰めしています。
是非この機会にみなさまにお楽しみいただきたく、オンラインショップで販売を開始しました。
IWCでの受賞は、厳格な審査を経て世界のワインのプロたちによって評価されたお墨付きワインである証といえます。ワインを選ぶ際の参考にされてみてください。