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2020/12/01

初のオンライン開催「勝沼ワイナリーフェスティバル2020」イベントレポート!ワイン、地域との新しいつながり方

11月7日(土)、8日(日)の2日間に渡って開催された「勝沼ワイナリーフェスティバル2020」。両日ともに天気に恵まれ、全国の皆様とつながり大盛況のうちに終了しました。ありがとうございました!

シャトー・メルシャンでは1974年からブドウの収穫期に合わせてワイナリーでの開催を中心にイベントを行ってきましたが、43回目となる今年は“自宅でも楽しめるフェスティバル”として、オンライン配信という新たなかたちで日本ワインの新しい楽しみ方や勝沼の魅力をあらゆる角度から発信しました。

今年の「勝沼ワイナリーフェスティバル2020」略して“勝フェス”は、シャトー・メルシャンのビジョンに共感いただいた勝沼の4つのワイナリーと力を合わせ、2日間で多彩なプログラムをご用意。普段のワイナリー見学ツアーでは立ち入れない施設の映像や、ワイナリー&大橋健一マスター・オブ・ワインのトークセッションなど、どなたでも楽しめる無料オンライン配信からより専門的にワインを楽しめる有料コンテンツまで、たくさんの方にご参加いただきました。

その一部をご報告するとともに、シャトー・メルシャン勝沼ワイナリー長である田村の“勝フェス”開催までの想いもお届けします。

 
  

勝フェスのスタートは新酒でカンパイ!


(“勝フェス”を楽しむためのツールとして限定販売した「おうちで勝フェスキット」)

イベント会場にいるような臨場感を楽しめるよう、今回特別に制作した「おうちで勝フェスキット」。今年できたての新酒(赤・白・ロゼ)をはじめ、人気セレクトショップ「ユナイテッドアローズ」とのスペシャルコラボTシャツや割れにくく繰り返し使えるオリジナルグラス、そして、気分を盛り上げてくれる「おうちで勝フェス特製ステッカー」とガイドブック1冊が入った、盛りだくさんのキットを購入いただいた方々に事前にお届けしました。

初日のオープニング&乾杯式では、ゼネラル・マネージャー安蔵光弘の「乾杯!」の掛け声とともに、チャットには続々と「乾杯!」の書き込みが。「新酒おいしい〜♪」「コラボTシャツ、着ています!」なんていう嬉しい書き込みがたくさん寄せられました。

 
  

多彩なプログラムで日本ワインと勝沼の魅力を発信

2日間で開催されたプログラムは、オンライン勝沼ワイナリーツアーやアンサンブル演奏会など見どころ、聞きどころ満載でお届け。クイズ大会「謎解きシャトー・メルシャン」や、お子さまも楽しめる「自由に描こう!ぶどうアート」コンテストにもたくさんの方がご参加くださいました。


(Instagram上に投稿されたハッシュタグ「#勝フェスぶどうアート」がついた作品の数々)

歴史を振り返りながらシャトー・メルシャンの魅力を語った現ゼネラル・マネージャー安蔵光弘と元ゼネラル・マネージャー上野昇とのレジェンド・トークでは、現代日本ワインの父と呼ばれる元メルシャン勝沼ワイナリー工場長・麻井宇介(本名:浅井昭吾)氏の薫陶を受けたワインメーカーの世代の移り変わりを説明するとともに、浅井氏が日本でも素晴らしいワインができると言い続けたこと、今も昔もシャトー・メルシャンの日本ワイン造りに対する思想は変わっていないことを語りました。

ワインに合う料理やおつまみを紹介してくれた女性ワインメーカーによるおしゃべりタイムでは、彼女たちがワイン業界を目指したきっかけ、日頃どのようにワイン造りに携わっているのかといった話題も。ブドウを栽培するスタッフと、そのブドウを使ってワインを醸造するスタッフ、それぞれのワイン造りへのこだわりも垣間見られたセッションとなりました。


(勝沼5ワイナリー&大橋健一MW「わいわいトーク!!!」)

(日本固有品種である「甲州」の歴史&未来を語った「勝沼醸造×シャトー・メルシャン トークショー」)

そして大盛り上がりだったのが、勝沼所在5ワイナリー&大橋健一マスター・オブ・ワインによるわいわいトーク。このトークセッションではシャトー・メルシャンほか、勝沼醸造、丸藤葡萄酒工業、蒼龍葡萄酒、ダイヤモンド酒造と勝沼を代表するワイナリーの醸造家たちが集結。

互いにニックネームで呼び合う和やかな雰囲気のなか、勝沼の各地域のテロワールの違いを語り合いました。途中で「それ、俺、知らないよ!」なんていう言葉も飛び出したりして、笑いが起こる場面も。それぞれの視点で勝沼産ワインや日本ワインにまつわる熱い話が繰り広げられ、真面目に、そして笑顔も交えながらのあっという間の30分間でした。

その他にも、山梨大学主催の日本ワインオンラインセミナーや、ワインのプロフェッショナルたちによるトークセッションなど、多くの方々にご参加いただきました。

 
  

みんなが幸せになれるイベントに。勝フェスへの想い

おかげさまでのべ約4900人の方にご参加いただけた“勝フェス”ですが、コロナ渦で未だ世の中が落ち着かない状況のなか、あえてオンラインというかたちでこのイベントを開催するに至った経緯を勝沼ワイナリー長の田村隆幸に聞きました。

田村:「シャトー・メルシャンのイベントを振り返ると昨年の開催地は椀子ワイナリー、一昨年は桔梗ヶ原ワイナリー、その前が都内開催のハーベストフェスティバルだったので、勝沼での開催は4年ぶり。久しぶりの開催とあって、昨年末からイベントプロジェクトを立ち上げ『2020年はやるぞ!』と意気込んで準備を始めていました。お客様はもちろん、地域も、そして私たちシャトー・メルシャンのスタッフもみんながハッピーになれるイベントにしたいと考えていました」

― そんななかで直面した新型コロナウイルス感染拡大の危機。各地でイベント中止や店舗休業が相次ぎ、勝沼ワイナリーでも売店をクローズすることに。ところが、お客さまとの新たなコミュニケーション方法を模索するなかで始めたSNSでのライブ配信が好評価、3〜4月のオンラインショップの好調な売れ行きに背中を押されることに。

田村:「世の中は厳しい状況だけれどもワイン需要が落ちているわけではない、人々のワインを飲みたい気持ちは落ちていないことがわかり、“勝フェス”を開催することで日本ワインに触れていただく機会をつくりたいと思いました。

今年はステイホームやリモートワークなど暮らし方は大きく変わりました。ですが、ブドウはいつもどおり春になったら芽吹き、成長して実をつける。そういうところに私は自然の生命力を強く感じます。ワインはそんな生命力に溢れた特別な飲み物です。今年は大変な1年でしたが、こんな時だからこそブドウの力を借りて皆さんに幸せを届けたいと思いました」

 
  

「最近の勝沼は大人しい」なんて、もう言わせない

そして、以前から抱いていた「勝沼という土地をもっと盛り上げたい」という想いも、イベント開催を決めた理由の一つになりました。

田村:「日本ワインはこの十数年で非常に注目されるようになり、ワイナリーも増え、とても良い流れになってきていますが、その話題の中心は長野県や北海道の新しい産地であったり、社内でも勝沼ではなく椀子ワイナリーだったり、常に新しい物事に興味が強まっていると感じていました。

同時に『最近、勝沼は大人しいね』なんて言われたりもして…このままではダメだと。勝沼は“かつて”の古い産地ではなく、常に新しいことをどんどん仕掛けていることを多くの方に知ってほしかったんです。勝沼の魅力や価値を多くの人に届けたいという想いは、オンライン開催に決定する前からありました」

― 改めて「勝沼」のオリジナリティ、魅力とは?

田村:「勝沼は日本の中では“旧世界の産地”といえます。対して長野県や北海道は“新世界”的な産地。何が違うかと言えば、長野県や北海道ではメルローやシャルドネなどのヨーロッパ系品種を使ったワイン造りが主に行われていますが、勝沼は主に甲州という日本固有の、少なくとも1000年以上の歴史を持つ土着のブドウ品種でワイン造りを行っているということです。

世界的にも今、土着品種の見直しが多くの産地で進んでいます。甲州はまさしく日本を代表する品種であり、それを主力で作っている産地が勝沼です。甲州というブドウ品種こそが勝沼の強みです。

そして、他の産地との違いをもうひとつ挙げるとしたら、『ブドウを育てる人』と『ワインを造る人』が違うというのが勝沼のワイン産業の成り立ちです。もちろん、そうでないワイナリーもありますが、その分業が色濃く残っている産地であるということです。自分でブドウを栽培しワインも造るドメーヌ式ワイナリーと異なり、勝沼ではワイナリーの都合だけでワインを造ることはできません。ブドウ農家さんをはじめ、勝沼という地域全体との共生。それは勝沼特有のカルチャーであり今後も続いていくはずです」

 
  

近隣ワイナリーや行政との共創関係

― 今回のイベントの大きなポイントとなったのが、近隣ワイナリーとのコラボレーション。トークセッションでは息の合った掛け合いが繰り広げられましたが、普段のお付き合いや関係性はいかに?

田村:「同業者の団体がいくつもあり、そこで日頃からつながりがあります。80超のワイナリーが加盟している『山梨県ワイン酒造組合』、勝沼町の30数社のワイナリーが参加している『勝沼ワイン協会』、勝沼の8つのワイナリーが加入している『勝沼ワイナリーズクラブ』など。シャトー・メルシャン勝沼ワイナリーもこれらに所属しているので、なんだかんだ週に一度は誰かと顔を合わせていますね。もちろん、プライベートで会うこともあります。

ブドウの状況を報告し合ったり、勝沼を活性化させるための企画を話し合ったり。今年は中止になってしまいましたがワイン祭などのイベントや勉強会を開いたりもします。勝沼ワイン協会には甲州市の産業振興課のワイン担当も事務局として参加していて、市と連携して勝沼ワインを発展させようという取り組みを行っています」

 
  

日本を世界の銘醸地にするために

シャトー・メルシャンが掲げる、「日本を世界の銘醸地に」というビジョン。

これは、シャトー・メルシャンを含む“日本全体”を世界の銘醸地にすることを意味しており、1980年代から長らく先人たちによって伝えられてきたことです。

田村:「昔の甲州ワインは残念ながら、色がなくて、香りがなくて、味がないと言われていました。それを克服するため、シャトー・メルシャンは1980年代にシュール・リーという製法を導入して、辛口の甲州ワインをつくることに成功しました。それまで甲州からは少し甘いワインしか造れないという思い込みがありました。

当時からシャトー・メルシャンには、シャトー・メルシャンだけが良いワインを造っても仕方ない、勝沼という産地全体のワインの品質が上がらなければ産地は盛り上がっていかない、産地はもとより日本ワイン界全体を盛り上げようという教えがありました」

― 実際、今回の“勝フェス”でご一緒した丸藤葡萄酒工業の大村さん、勝沼醸造の有賀さんは、シャトー・メルシャンからシュール・リー製法の技術を教わったとのこと。

田村:「そうです。当時の感謝の意を、私たちにも常に表してくださっています。現在、丸藤葡萄酒工業はとても美味しい甲州シュール・リーを造っているので『どうやって造っているんですか?』と聞くと、『メルシャンさんに教えてもらった通りに造っているよ』って言われてしまうんですよ(笑)。私たちはメーカーやワイナリーの垣根なく日本ワインの品質向上を目指しているんです」

日本を世界の銘醸地にするというビジョンを実現するために周りを巻き込んでいくことも大事ですが、一方で、まずシャトー・メルシャン自身が輝いていなければならない。私たちも常に学び、挑戦し続ける必要があります。

シャトー・メルシャンでは勝沼にある城の平という自社畑で1980年代からカベルネ・ソーヴィニヨンを栽培していますが、この畑はもう完成された畑で毎年同じことをしていると思われている。でも、実は城の平でも毎年試行錯誤しながらいろんな挑戦をしています。勝沼はすごい産地だということをもっと発信していきたい」

最後に、田村ワイナリー長に来年以降の勝フェス開催について話を聞いたところ、こんな答えが返ってきました。

田村:「今年は私たちのビジョンや想いに共感してくれた4社のワイナリーと協力して“勝フェス”を開催することができました。来年以降はまだわかりませんが、できることなら、もっと多くのワイナリーさんにも参加してもらい再び“勝フェス”を開催したいですね」

新しい楽しみ方として広がりを見せるオンラインイベント。現地に足を運べないもどかしさはありますが、それ以上に、時間や物理的な距離を気にせず気軽に参加できるようになった、という嬉しいコメントも多く寄せられました。これからもシャトー・メルシャンは、さまざまなかたちで、勝沼と日本ワインの魅力を発信していきます。

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